ムンバイ。

ムンバイとは、かつてボンベイと呼ばれていた地のこと。今から20年前の1995年、英語の「ボンベイ」から、現地マラーティー語の「ムンバイ」へと変更となった。1947年、ガンジーの独立運動から60年以上、その闘争の歴史を物語る建築、チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅と、駅の時計。この駅名もまた、ボンベイ同様、終着駅という意味のヴィクトリア・ターミナスという名から、インドの英雄、チャトラパティ・シヴァージーに改名された。時を肌で感じる。その中央の時計がインドの歴史を見てきたようだ。

ムンバイでは自転車をレンタルし、車とバイクのクラクションが鳴り止まない雑踏の中をすり抜ける。これはインド人に勧められたムンバイ旅の極意である。暖かく、湿度のあるインド独特の香りとともに私が感じた印象は、ここムンバイが想像よりもはるかに、大都市であるということだ。
半島のように埋め立てられる前は、七つの島でできていたムンバイ。世界有数の貿易港である。経済の中心であり、カラフルな食材、食の都でもある。どことなく懐かしい感じのする市場。幾度にも渡る闘争の時を、力強く支えてきた食。ワールドタイムをチェックしながら、もちろんカレーを注文する。

インドの先人が残した言葉に「善きことはカタツムリのような速度で動く。」というものがあるが、どうやらこの言葉の通り、ここムンバイは少しずつ、確実に歩を進めているようだ。「世界で最も寛容な精神」を持つインドの人たちは、ただのんびりとしているようで、人生の速度を十分に理解しているように思えた。
私の腕のEDIFICEは、ゆったりと流れる歴史あるインドの時間にも同期しているように思った。